ゲコデスノート

酒の飲みの備忘録

ABERLOUR 12y V.O.H.M ボトルの変遷

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ABERLOUR 12y  V.O.H.M 80年代流通

評価(10段階) : 7

梅酒に浸った青梅のような甘さと角の取れた酸味、高級なプリンに垂らされる濃厚なカラメル、しっとりとした円やかな口当たり、小粒なベリーをふんだんに乗せたタルトケーキ、コーヒーリキュールのような優しいほろ苦さ 

ブランデーのようなルックスのこのボトル。シェリー樽熟成のオールドモルトとして人気がありますが、しっとりとした麦の厚みも感じられる一本でした。

 

さて、1826年設立の歴史あるアベラワー蒸留所について調べたことを軽くおさらいしていきます。

1945年にキャンベル・ディスティラーズに買収され、同社の子会社であるホワイト・ヘザー・ディスティラーズ社にて詰められていたブレンデッドウイスキー「ホワイトヘザー 」の原酒として使われるようになります。

1975年に、当時シーバスリーガルを所有していた、カナダのシーグラム社に親会社ごと買収されます。後2001年には、ディアジオ社とペルノリカール社がシーグラム社を分割買収。現在はペルノリカール社傘下の蒸留所として、グレンリベットと並んで多くの人に愛されるシングルモルトウイスキーを詰めています。

 

アベラワーは何十年も前からシングルモルトとしてオフィシャルで詰められ、愛飲されてきたウイスキーです。今回は、アベラワーのボトル形状の変遷を、憶測妄想込みで、まとめていきたいと思います。

 

●1970年代中期

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1964ヴィンテージの8年ものが「THE BEST COLLECTION OF MALT SCOTCH WHISKY 」に掲載されていました。私が確認できた最古のオフィシャルボトルです。ボトルの形は70年代流通のホワイトヘザーと同じ形状の角瓶です。最低でも1972年以降の瓶詰めであるのことは確定です。

シーグラム傘下に入り、シングルモルトでも売っていこうや、っていう方針が加わったのではと妄想。角瓶アベラワー8年は1975年からのリリースなのではないでしょうか。

 

 

●1970年後期から1980年代初期

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写真は世界の名酒辞典80年版と83年版より。角瓶アベラワー・グレンリベット8年から少し遅れて角瓶12年、V.O.H.M表記の10年と12年の登場です。V.O.H.Mはvery old hiland maltの頭文字を取ったもの。この表記が大きく書かれたラベル、グリーンのボトル、まるでブランデーのよう。

同時期に角瓶とグリーンボトルの二種類で、熟年数の変わらないものを詰めています。ブランデー需要の高かったフランス向けにはVOHM表記のグリーンボトルを、スコットランド国内とアメリカ向けには角瓶のアベラワー・グレンリベットを、と、輸出先によってデザインを変えていたのかもしれませんね。

 

●1985年頃

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1985年ホワイトヘザーが販売を終了。それに伴い角瓶のアベラワー・グレンリベットも姿を消します。

余談として、VOHMアベラワーは10年と12年の二種類のみですが、角瓶アベラワーはビンテージ表記のあるものや、熟成年数9年なども存在しています。

 

●1980年代中期〜90年代前半

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アベラワー・グレンリベットがスクリューキャップのトール瓶になって登場です。通関コード付き特級シールが貼られているため、86年以前から市場にあったことが分かります。これにより角瓶からトール瓶への切り替わりが1980年代中頃だということがほぼ確定します。

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名酒辞典89年版。VOHM表記はまだまだ健在です。

 

●1990年代前半〜2000年前半

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90年年代前半流通の10年。スクリューキャップからコルクに切り変わります。またキャップ切り替わりからの数年間のみ「HIGHLAND MALT」表記ではなく「PURE HIGHLAND MALT」表記になります。この頃からVOHM表記のグリーンボトルを見かけなくなり、2010年代後半まで写真のようなコルクキャップのトール瓶に詰められています。

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こちらは2000年代前半に免税店向けに出されていたボトル。「SINGLE HIGHLAND MALT」表記に変わっています。その後2010年前後には「HIGHLAND SINGLE MALT」表記に。

 

●2020年現在

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現在はトールボトルから、ダンピーとまではいかないですが、ずんぐりむっくりした可愛らしいボトルに。表記も「SPEYSIDE SINGLE MALT」に変わりました。

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日本では並行輸入品のみのアベラワー10年は未だにトールボトルに詰められており、「HIGHLAND SINGLE MALT」表記のままです。

 

角瓶の9年や、ピュアシングルスペイサイドモルト表記など、わからないボトルが調べれば調べるほど増えてしまったのでこんな所で降参です。

上記内容について、情報が間違っている箇所があるかもしれません。ご指摘ご意見、情報提供など、コメント頂けたら嬉しいです。

 

と、いうことで初めてのブログ記事投稿でした。今回は少しマニアックな内容でしたが、オールドボトルやウイスキーだけではなく、酒呑みとしての記録を気ままにつけてこうと思っています。

ウイスキーを飲み始めてもうすぐ1年、お酒に溺れて早6年。個人的な備忘録ではありますが、覗きに来ていただけたら嬉しいです。

 

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